筋配列から見た進化のロボット工学的検証
藤川 智彦(富山商船高等専門学校),大島 徹(富山県立大学)



 陸上で活動する動物達は抗重力筋を獲得することで,水中から陸上に生活の場を移した.それを可能にした筋の発達を明らかにする上で,筋配列の効果を明らかにする必要がある.陸上の動物の四肢には各関節における一関節筋ペアと二つの関節に同時に関与する二関節筋が存在し,三対6 筋の筋配列が基本である.二関節筋を含めた三対6 筋の機能はリンク先端に発生する剛性と出力の独立した制御である.この機能に注目し,三対6 筋の特性と陸上で生活する動物の運動機能の関係を明らかにすることを試みた.ここでは,二足歩行のヒト,高速移動ができる有蹄類,跳躍・遊泳が主のカエルの筋配列に着目し,ロボット工学的解析により筋配列の効果を明らかにした.また,この効果を進化の過程で獲得した機能により考察すると,多関節筋から二関節筋が発生し,抗重力の機能として一関節筋が発達したことが推察できた.

 




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