ナメクジウオ類の系統関係と運動に関わる組織の特徴
安井金也(広島大学・大学院理学研究科附属臨海実験所)



 ナメクジウオの名で知られる頭索動物ナメクジウオ類は,われわれ脊椎動物に最も近縁な動物として古くから注目されてきた.しかし,分子系統解析からは,形態学的類似性によって推測される系統関係を積極的に支持する結果は報告されない.古生物学的には,明らかに脊椎動物の特徴を示す化石Haikouichthys(海口魚)がカンブリア紀前期にすでに出現している.このことは両者の分岐が深いことを示唆しており,今後の研究によっては,脊椎動物・尾索動物・頭索動物を含む脊索動物門の系統関係の変動も起こりかねない.このような状況を受け入れつつ,脊椎動物と解剖学的類似性を示すナメクジウオ類の運動に関わる筋組織・支持組織・末梢神経系について解説する.





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