家畜化の初期過程と遊牧の始まり
本郷一美(総合研究大学院大学 先導科学研究科)




西アジアにおける偶蹄類の家畜化は、定住農耕集落周辺の二次的環境に動物を取り込むことによって進行した。遊牧という牧畜の形態は、牧畜技術の発達、なかでも乳製品加工技術の獲得によりはじめて可能になったと考えられる。遊牧の前提条件である乳製品利用技術は、先土器新石器時代B期後期には始まっていた可能性が最近指摘されている。ジャフル盆地における先土器新石器時代B期の移牧拠点から出土した動物骨資料は、定住村落からの日帰り放牧→季節的な移牧→遊牧という牧畜技術の発達過程を裏付けるものである。





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