はじめに
藤井純夫(金沢大学文学部)



家畜化(animal domestication)と遊牧化(pastoral nomadization)--- 何十年も論じてきたが、まるで雲をつかむような話で、具体的なことは何一つ分からなかった。その状況が急速に改善されてきた。新石器文化集落出土の動物骨、周辺乾燥地における移牧拠点、そこから派生した初期遊牧民の墓域、当時の自然環境など、この問題を考えるための基礎的なデータが揃い始めているからである。これを基に、家畜化と遊牧化の過程を再構成してみるとどうなるか。十年前とはまるで異なる、より鮮明な全体像を描けるかも知れない。考古学、動物考古学、古環境学の視点から、これにチャレンジする。





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