ヒト誕生の地の環境と歩行形態をめぐって:霊長類の生態学研究からの考察

古市剛史(京都大学霊長類研究所)

Reconsideration on the habitat type and role of the bipedal walk:
Views from ecological research on living primates.
Takeshi Furuichi(Primate Research Institute, Kyoto University)




 「ヒトの誕生の舞台は森だった」ということが、しきりに語られている。その大きな根拠は、ヒトの化石と一緒に森林でしか生活できないコロブス類の化石が出てくるということのようだが、このことは、当時の環境について何を語ってくれるのだろうか。現在森とサバンナの境界となっているコンゴ民主共和国やウガンダ共和国の様々な景観を見ながら、これらの点を考察したい。また、ナックルウォークをする類人猿と一緒にいろいろな植生を二本足で歩いた経験をふまえて「森で2足歩行が進化した」という可能性が本当にあるのかを考え、初期人類で急速に進化した2足歩行の果たした機能についての考え方を整理してみたい。






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