父系社会の形成と進化

松本晶子(沖縄大学)

The formation and evolution of paternal society
Akiko Matsumoto-Oda (Okinawa University)




 配偶システムは繁殖にかかわる行動の総体であり,行動は個体のおかれている条件と環境に応じて変化する.配偶システム自体は種に固有なものとして備わっているのではなく,オスの適応戦略とメスの適応戦略の妥協点として実現する.系統樹をみると,単雄型配偶システムから,チンパンジー属は複雄型の配偶システムを進化させてきたと考えられる.チンパンジーではオスの血縁者が集団に残るようになった.どのような場合に,オスの血縁者が集団に残るようになるのだろうか.本発表では,チンパンジーの集団構成,配偶システム,そして繁殖戦略から,どのような淘汰圧が働いた結果,チンパンジーに固有の父系社会が進化したのかを検討する.






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