現生アフリカ類人猿と人類の起源をめぐって
中務真人・京都大学大学院理学研究科
On the origins of living African apes and humans
Masato Nakatsukasa




 およそ半世紀前に始まった野生類人猿研究は、こんにち著しい発展を遂げ、その研究目的はかなり多様化しました。しかし、類人猿研究から人類の進化過程を明らかにすることは、今でもその主要な研究目的の一つであると考えます。この2、3年の間、後期中新世のアフリカ類人猿化石が増加し、その系統的・生態的解釈を行う上で現生類人猿研究の知見が益々重要になっています。一方で、現生アフリカ類人猿がどのように進化してきたか未知であることが、蓄積された現生類人猿研究の知見を人類祖先モデルの構築にいかす上で大きな制約になっています。この問題はただちに解決できるものではありませんが、人類進化を考える上で現生類人猿研究の可能性はとても大きいと考えています。様々な分野の研究者が共同して、どのように人類(と現生類人猿)の進化シナリオをつくることができるのか、その可能性を考える機会としてこのシンポジウムを企画しました。






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