アフリカ類人猿の同所的共存から人類進化における同所性の影響を考える

鈴木滋(龍谷大学国際文化学部)


Shigeru Suzuki (Faculty of Intercultural Communication, Ryukoku University)




 霊長類は近縁の複数種が同所的に共存することが熱帯森林地域ではよく見られる。アフリカ類人猿も、その例外ではなく、中央アフリカの分布の大部分と東アフリカの一部で同所的に共存している。これらのゴリラとチンパンジーは、果実や繊維性食物をはじめとして、利用する資源が重複するために潜在的競合関係にあるとされるが、同所的な共存は安定している。では、これらの同所的なゴリラとチンパンジーは、同所的ではない同種他地域集団とは、生態や社会的性質が異なるのであろうか?一方、初期人類は、かつて東アフリカと南アフリカ地域で、華奢型と頑丈型の2タイプが百万年以上にわたって同所的に存在したと考えられている。そこで、本発表では、これらの現生種の食性や社会構造の同所性による特殊化の可能性を踏まえて、初期人類において同所性による人類進化が進んだ可能性を検討したい。






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